蓄電池と太陽光は本当にお得?売電低下時代の賢い選び方

- 太陽光発電は売電より自家消費のほうが得になる時代に入っている。
- 蓄電池を併用すると、昼に作った電気を夜に回せて電気代を削れる。
- 蓄電池の最大の難点は初期費用の高さと、約10〜15年という寿命。
- FIT(固定価格買取制度)は太陽光で作った電気を一定価格で買い取る国の制度。
- 本気で元を取りたいなら、容量・設置場所・保証期間の3点で蓄電池を選ぶ。
蓄電池と太陽光の結論

太陽光と蓄電池をセットで使う最大の目的は、電気を「売る」から「ためて使う」へ切り替えることにある。
私は元銀行の融資担当として、太陽光案件の収支表を何度も見てきた。正直に言うと、数年前まで蓄電池は「割に合わない」と感じていた。
ところが売電価格が下がり、電気代が上がった今、計算の前提が変わった。昼に余った電気を売っても安い。なら夜に自分で使ったほうがいい。この単純な事実が、蓄電池の価値を押し上げた。
目次
この記事は、太陽光の現状から蓄電池のメリット・デメリット、選び方までを一気に確認できる構成にしている。

- 太陽光発電の現状と売電価格の変動
- FIT制度とは何か
- 自家消費へのシフトとおひさまエコキュート
- 蓄電池のメリットとデメリット
- よくある質問
太陽光発電の現状と売電価格の変動
太陽光の売電価格は制度開始から年々下がり続けている。
2012年にFITが始まった当初、住宅用太陽光(10kW未満)の買取価格は1kWhあたり42円だった。これが2024年度には16円まで下がっている。出典は経済産業省・資源エネルギー庁の公表資料による。
私が銀行で太陽光ローンを扱い始めた頃は、売電収入だけで返済計画が組めた。今は同じ感覚で組むと痛い目を見る。前提が10年で大きく変わった。
FIT(Feed-in Tariff)制度とは

FITとは、再生可能エネルギーで作った電気を、電力会社が一定価格・一定期間で買い取ることを国が保証する制度です。
住宅用太陽光の買取期間は10年間と決まっている。この10年は価格が固定されるため、設置時の単価がそのまま続く。
裏を返すと、11年目以降は保証がなくなる。これがいわゆる「卒FIT」だ。買取価格は各電力会社が独自に設定する水準まで下がり、1kWhあたり7〜9円台になるケースが多い。ここで「ためて使う」発想が効いてくる。
売電価格の低下と自家消費へのシフト
売電単価が購入単価を下回った今、電気は売るより自分で使うほうが得になる。

具体例で考えよう。仮に売電が1kWh16円、電力会社からの購入が1kWh30円前後だとする。1kWh売って16円もらうより、その1kWhを自宅で使って30円分の購入を減らすほうが、差し引き14円トクをする。
昼に作った電気は昼に使い切れないことが多い。だから蓄電池にためて、夜や朝の高い時間帯に回す。この発想が自家消費シフトの中心だ。
私の実感では、共働きで日中に家に人がいない家庭ほど、蓄電池の効果が出やすい。昼の太陽光が丸ごと余るからだ。
「おひさまエコキュート」で電力の自家消費を高める方法も
おひさまエコキュートは、太陽光が発電する昼間に湯を沸かすよう設計された給湯器で、余った電気をお湯に変えて使い切れる。
通常のエコキュートは電気代の安い深夜に沸かす。一方、おひさまエコキュートは昼の余剰電力で沸かすため、太陽光との相性がいい。
蓄電池が「電気のまま」ためるのに対し、こちらは「お湯」としてためる発想だ。給湯はどの家庭でも使う量が大きい。私は、蓄電池の導入をためらう家庭なら、まずこちらから検討する価値があると考えている。
蓄電池導入のメリットとデメリット

蓄電池の価値は電気代の削減と非常時の備えにあり、最大の壁は初期費用と寿命にある。
先に全体像を表で並べておく。正直、メリットとデメリットは半々ではない。お金の面ではデメリットの比重が大きい、というのが私の率直な見方だ。
| 区分 | 内容 | ひとことコメント |
|---|---|---|
| メリット | 昼の余剰電力を夜に回して電気代を削減 | 自家消費シフトの中心 |
| メリット | 停電・災害時に一定時間の電気を確保 | 安心料として評価できる |
| デメリット | 初期費用が高い | 回収に年数がかかる |
| デメリット | 充放電を繰り返すと容量が劣化する | 寿命がある消耗品 |
メリット①電気代を安くできる
蓄電池の一番の効果は、太陽光で作った電気を捨てずに使い切ることで電気代を下げられる点にある。

昼に余った電気を安く売る代わりに、その電気を夜に自分で使う。前述のとおり購入単価のほうが高いので、使う側に回したほうが家計に効く。
さらに、料金プランの安い時間帯に充電し、高い時間帯に放電する使い方もできる。太陽光がない曇りの日でも、夜間の安い電気をためておけば昼のピークをずらせる。
メリット②災害時でも一定期間は電気が使用できる
停電が起きても、蓄電池にためた電気で冷蔵庫や照明、スマホの充電といった最低限の暮らしを維持できる。
太陽光だけだと、停電時は昼しか発電せず夜は使えない。蓄電池があれば昼に作った電気を夜まで持ち越せる。台風や地震が多い日本では、これは数字に出にくいが大きい安心だ。
ただし、何でも動くわけではない。エアコンやIHのように消費電力が大きい機器をフル稼働させると、あっという間に残量が減る。私は「冷蔵庫・通信・照明を守る」くらいの期待値で考えるのが現実的だと思う。
デメリット①初期費用が高い

蓄電池の最大のネックは、本体と工事を合わせた初期費用の高さだ。
容量や機種で幅が大きく、ここは安易な相場を書きたくない。メーカーや施工店の見積もりを2〜3社取り、容量あたりの単価で比べるのが確実だ。
私が融資の現場で見てきた感覚では、ここで失敗する人は「1社の見積もりだけで即決」している。相見積もりを取るだけで条件は変わる。補助金が使える地域なら、申請可否も含めて確認したい。
デメリット②蓄電池には寿命がある
蓄電池は充放電を繰り返すと少しずつ容量が減る消耗品で、永久には使えない。

寿命はサイクル数(充放電の回数)で表されることが多い。経年とともに使える容量が落ちていくため、設置から十数年で買い替えや容量低下を見込んでおく必要がある。
だからこそ保証期間が重要になる。容量保証が付いているか、何年・何%まで保証されるかは機種で差が出る。ここは契約前に必ず確認すべき点だ。正直、この寿命とコストがある限り、私は「全員に勧める」とは言えない。発電量・在宅時間・卒FITの有無で判断が分かれる。
よくある質問
よくある質問
最後に一言。蓄電池は「付ければ得」ではなく「使い方が合えば得」な設備だ。あなたの家の昼の電気の余り方を一度数字で見てから、導入を判断してほしい。
